2013年3月9日土曜日

ザッパを聴く

トオルです。炭酸です。どっちでしょう。

インターネットで趣味趣味しい音楽のことを調べていると、それらのファンをジャンルによってメタラーだとかプログレッシャーだとか言ったり、一括りにまとめて「こういう人たちでしょ」みたいな物言いをする冗談が定番としてあるらしいのが分かります。
そういう方向から知ると、それらは純粋にそれぞれのジャンルのリスナーのことを指すと言うより、蔑称的な(自虐的な)意味合いの方が強いのかなあという気もしますが、私はそういう語彙を実際に使わないので、あまり正確なニュアンスは分かりません。

フランク・ザッパという人の名前は、音楽を聴く人なら一回くらいは耳にしたことがあるでしょうし、古典ロックを聴く人なら一枚くらい聴いたことがあるでしょう。私も長い間ずっと、後者の一枚くらい聴いたことがある人だったんですが、去年辺りからポツポツ買い始めて楽しんでいます。


そもそも私がザッパの名前を初めて知ったのは大槻ケンヂさんがきっかけだったと思います。
オーケンさんがトークやエッセイの中でザッパに触れることはそんなに多くはないけどそれなりの頻度であるのでどれが最初だったか分かりませんが、多分「徹子の部屋」で「東京タワーの蝋人形館を見に行ったらピーガブやザッパの蝋人形があって……ピーガブというのはピーター・ガブリエル、ザッパはフランク・ザッパの略なんですが」と言ったら徹子さんに「最近の若い人は何でも略し過ぎです」と叱られていた、とかそんなところだったろうと思います。

ザッパの音楽自体はその後も聴いたことがなかったのですが、印象として決定的だったのはやはりオーケンさんのエッセイで「フランク・ザッパというのは音楽好きの男子が好きな女の子に何か貸して、と言われて喜び勇んで何十枚と家から持って来て渡して、結局フラれるようなそういうタイプの音楽をやる人です」とかいった感じで書いていたことです。
これって一見ザッパのことを書いているようですが、ザッパ好きの男子(オーケンさん自身も含めて)のイメージをネタにしてるんですよね。
多分、こういうお話というのは色んな方が、それこそ音楽に関係ないエッセイストとかの方でもやってらしたりして、そういうものを読んで大きくなった人がまた同じように語りそれを読み聞きした若い人が、みたいな感じで連綿と続いてる伝統芸能なんだと思います。


ザッパに関する話がついでのようになってしまいましたが、その後「ブエノスアイレス」というホモ映画のサントラに「チャンガの逆襲」と「I have been in you」が使われてたので初めて曲を聴いて、レンタルでアルバム「Sheik Yerbouti」(I have been in youが収録されてます)を借りたんですが、間もなくその店がゲーム屋に改装してしまったので私の手持ち音源としてはずっと、そのときのダビングMDが一枚あるきりでした。(余談ですが、阪急高槻市駅の南口出てすぐにあったそのお店はザッパだけでなく芸能山城組がいっぱいあったり、ビデオも「怪奇大作戦」の欠番タイトル「狂鬼人間」が欠番前にソフト化された珍しいVHSがあったりとなかなかのパワースポットだったので残念でした)
それが、去年の夏くらいにNowPlayingで聴いてる曲を自動ツイートしたりしていたのもあってザッパ好きの方と話す機会ができて、色んな方のオススメをうかがったりしながらちょっとずつつまんでいます。
フリージャズっぽいので、ということで「Hot Rats」や、プログレっぽいので、ということで「One Size Fits All」など。つい先日は「Jazz From Hell」が届いて、聴いてみたらこれが平沢進の初期ソロのような、ヒカシューのような、ゲームサントラのような、何とも言えないちょっとテクノ寄りのニューウェーブ感漂う一枚でザッパの多面性をよく表したおもしろい一枚でした。さっき「Lumpy Gravy」が届き、もう一枚「LATHER」が今多分イギリスから飛んできてるところです。

私のようにツイッターで音楽の話だけを専門にしたり、紹介したりしても、なかなか実際に購入して聴いてもらうに至ることはできないと思うのですが、もともと興味を持ちかけていたけど億劫がって手を出していなかったものに一歩踏み込んでみようかな、くらいの働きかけをすることはできるんじゃないかと思っています。
自分がそういう風に背中を押された経験が少なからずあるので、私もちょっとは誰かを押せてるといいな、と思います。

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