2013年8月17日土曜日

【アニソン】シャフト+新房昭之監督作品と歌 前半(ビクター、キングレコード)

タイトルの通りです。知ってる人にはすごく今更なうえに何かと角が立ちそうでこわいのですが、勇気をふりしぼって書きます。

(最後に書いた部分を頭に持ってきましたので話が前後してる部分があるかもしれません)
今回のきっかけはだいぶ前に遡るのですが


これはだいぶ前から気にかかっていることだったんですが、当然のように「新房監督でしょ」という反応もいただきました。
例えば「月詠」において、主人公の家が舞台のセットのように断面で描かれていて、部屋と部屋、階と階を跨いだ人物と会話するといった昔のテレビ舞台劇のような描写(こういうイメージ)があったことからも伺えるように、新房昭之監督にある種の懐古趣味というか、パロディ趣味があるのは確かなんでしょうけれども、そもそもアニメ作るうえで「こういう歌にしましょう」という決定が演出側の意思だけで決められるとは思えなくて、今回のように製作レーベルと一応プロデューサー名も並べてみました。プロデューサーの名前まで挙げておいてそこから得られるものとかのまとめがあるわけでもないんですが、読んでくださった方がそれぞれここに列挙した粗いデータから何かしら気づくことがあるとおもしろいなあと思います。



こうやってまとめてて、上のツイートのような「ニューウェーブ的な曲がちょこちょこ入る」アニメは新房作品の中でもキングレコードに多い(そもそもキングレコード製作のシャフトアニメが多いという話でもあるんですが)という特徴があるように、あらためて思えました。
少女Qのテクノ調から大槻ケンヂと絶望少女達やくしまるえつこ、そしてエリオとかまってちゃん……どこを切っても切っても切っても切ってもマギーッ!!となるような面子です。(金太郎アメ的な例えをしようとしました)
それに対してアニプレックスは随分コントロールしているな、というか、なるべくオリジナルで、声優か母体であるソニーミュージック所属のアーティストをタイアップする形での起用が多いようです。
というか、所属アーティストの起用というのはキングレコードがやくしまるえつこを使うのも一緒なんですが、そもそも所属させてる人の違いが結果に現れているのかもしれません。

例えば演出の意図で「こうしたい」という案があったとしても用意された手札にそれに沿ったものがあるかどうか、という問題です。それを持ってくるのが製作(制作)の仕事の範囲というか、プロデューサーの手腕なんじゃないかという気がしています。(ホントはそこに制作会社のプロデューサーも関わってくるんでしょうけど、シャフト作品は基本的に久保田光俊さんなのでレーベル別の話には要らないだろうと思って省略しました)
もっとくだけた言い方をすると、演出家がカードゲームのプレイヤーだとすると、それぞれのレーベルがデッキで、デッキの中にどれだけの手札が仕込まれているかという……いや、私はカードゲームやらないのでこの例えよくないですね。
そもそも今の例えだと演出ばかりが発意しているようなので、実態としてはプロデューサーから「こんな曲どうですか」というプレゼンもあるんじゃないかと思います。そのときに、例えば新房監督なら新房監督作品の曲として「おもしろいね」と思われる曲を提案できるかが問われるんじゃないかなあという気もします。(ここではレーベルとの関係で話すために、というか特にキングレコードについて話すためにレーベルとプロデューサーだけで話していますが、実際には音楽を決めるファクターはもっと色々あると思います。原作者の趣味で平沢進を起用した「ベルセルク」とか)

先にキングレコードの方がニューウェーブ趣味が濃くて、アニプレックスでは抑制されてるという書き方をしましたが、実はアニプレックスの中でも例えば「化物語」のOPテーマの内の「帰り道」のように、作曲者の神前暁さんがゲームミュージック畑の人であることを活かしたようなレトロゲームテイストの曲なんかもあったりします。(個人的には「白金ディスコ」もゲームミュージック的だと思うのですが)
「帰り道」は映像としてもレトロな味わいを持ったものでしたが、仕上がった曲を聴いてそういうものにしたのか、そういうものにするために曲をオーダーしたのかは外からは想像するしかありません。
どちらであったにしろ、演出家にそういうアンテナがあったからこそうまい具合に曲と絵のイメージをシンクロさせて、ああいう結果に落とし込めたのではないかと思います。(そもそもOPに関してはOP演出としてそれぞれに立てられた演出家が別にいるのが通例なのですが、それも含めて新房作品、として評価されるでしょうからここでは敢えて忘れておきます)

長い回り道でしたが、そう考えると結局は「新房監督でしょ」という最初に挙げた反応は間違ってないことになるのですが、もう一歩踏み込むと、「新房監督のオーダーに応えられる環境が揃ったときに、私達の目に見えるかたちで作家の趣味が(例えば音楽とかに)現れてくるんじゃないのかな」というのが暫定的な私の結論です。

それでは実際にまとめてみたものを以下からどうぞ。少しくらいは「環境」が見えてくるかも?
(演出に関わる副監督に当たる役職の方と、プロデューサーはシャフト社内ではなく、レーベルの方の名前を記録しています)
(とても重くなったので二分割しました。よろしければ後半も読んでみてください)


ビクターエンタテインメント

月詠~MOON PHASE~(2004)
監督補佐:鈴木利正、プロデューサー:吉田博、尾留川宏之、音楽プロデューサー:福田正夫
(シャフトが新房昭之監督と本格的に組んで制作した最初の作品です)

「Neko Mimi Mode」Dimitri From Paris


これはDimitri From Parisにセルフパロディをやらせてみたようなことだったみたいですね。

「Love Love Mode」


他にもEDの「悲しい予感」橋本由香利作詞作曲、歌:marrianne Amplifier feat.yuka)、アナザーEDの「波のトリコになるように」(作詞:サエキけんぞう、作曲:菊池成孔、歌:小川範子)、DVD版スペシャルEDの「Just for my love」(作詞:伊藤利恵子、作曲:北川勝利、歌:門脇舞・松来未祐)などの印象的な歌がありましたが長くなるので割愛します。
一応特記しておくと、「波のトリコになるように」がおそらくサエキけんぞうさんにとって初めてのアニソンだったこと(これより前に声優の田中理恵さんに「瞳のトンネル」という曲の歌詞を書いているようですがアニメに使われた曲ではなさそうです)、「Just for my love」の作詞作曲がROUNDTABLEのお二人であることは記憶に留めておきたいところですね。


キングレコード系

ぱにぽにだっしゅ!(2005 ガンジス製作)
シリーズディレクター:大沼心、プロデューサー:森山敦

「少女Q」桃月学園1年C組 Feat. 上原都 (堀江由衣)


人気の高い作品なので「あの歌もこの歌も」と言われそうですが、まだ先が長いのでサクサク行きます。


ネギま!?(2006 ガンジス製作)
チーフディレクター:大沼心、プロデューサー:東不可止(テレビ東京)、中西豪、池田慎一

「1000%SPARKING」佐藤利奈、神田朱未、野中藍、小林ゆう


ここに挙げたのは一番最初のタイプだと思うんですが、主題歌はキャスト大勢によるローテーションなので、この曲はボーカル違いのバージョンがいっぱいあります。アイドルグループっぽいですね。確かセリフの入るタイプもあったと思うんですが……これですね。


・さよなら絶望先生(2007 音楽制作:スターチャイルドレコード)
副監督:龍輪直征、P:森山敦

「人として軸がぶれている」大槻ケンヂと絶望少女達


余談ですが、大槻ケンヂさんと声優の皆さんは別録りだったそうで、かなり長い間「木村カエレという芸名の声優がいるのか!会ってみたい」と思っていたらしいです。
その後、木村カエレさんこと小林ゆうさんとは作品外でも互いのライブに参加したりされるほどちゃんと知り合えたそうです。絶望先生絡みのキャラソンではこんな曲も。

「豚のご飯」大槻ケンヂと木村カエレ



・【俗・】さよなら絶望先生(2008)
副監督:龍輪直征、チーフ演出:宮本幸裕、P:森山敦

「空想ルンバ」大槻ケンヂと絶望少女達


「魔法少女まどか☆マギカ」の魔女空間などで知られる劇団イヌカレーがシャフトのアニメと密接に絡み始めたのは「まりあ✝ほりっく」からだと思うんですが、このOPのOADバージョン(動画内にも含まれてますが)なんかでそのダークサイドが見えてきた気がします。


【懺・】さよなら絶望先生(2009)
P:宮本純乃介

「林檎もぎれビーム!」大槻ケンヂと絶望少女達


シリーズの象徴的な大槻ケンヂと絶望少女達によるOPはこんな感じなんですが、他にもROLLYさんによるEDがあったり、野中藍さんの歌唱による不安定な「トロイメライ」があったりと音楽的に一風変わった演出の目立つシリーズでした。

ちなみに私は絶望リスナーこと、この番組関連のラジオ「さよなら絶望放送」を毎週楽しみに聴いていた人なのですが、あの番組が終わって以来、男女パーソナリティーで安定して楽しめる長寿番組がなくなってしまった気がしています。


夏のあらし!(2009 制作協力:ガンジス)
シリーズディレクター:大沼心、P:宮本純乃介

「あたしだけにかけて」面影ラッキーホール feat. 後藤まりこ(ミドリ)


なんとなくいやらしい感じのタイトルで、他に思い出す曲もあるかもしれませんが気のせいです。リンクを貼ったりもしません。
この主題歌は放送では話数ごとに「初めての~」「二回目の~」と数え歌のようになっていて、この動画だと第四話ということですね。
本編は時間移動をギミックにしたSFギャグという、ちょっと「ドラえもん」なんかも思い出すようタイプの佳作で、実は個人的にかなりお気に入りの作品だったりします。
そして、その時間移動と重ねて、本編でも様々な昭和の歌謡曲を挿入歌としてカバーしており(とても多いので詳しくはWikiの当該ページの「挿入歌」の項を参照してください)、このOPでも色んなレコードのジャケットをモチーフにしています。




・夏のあらし!~春夏冬中~(2009)
シリーズディレクター:大沼心、石倉賢一

「おやすみパラドックス」やくしまるえつこ



一期のムードと打って変わってのやくしまるえつこさん登板なんですが、何とこれ作曲は近田春夫さんだったそうです。私も今初めて知りました、調べてみるものですね…
予定外でしたがそれも踏まえたうえでカバーされた挿入歌も一曲挙げておきます。

「レーダーマン」小林ゆう


絶望先生の経緯で出会った大槻ケンヂさんに「戸川純の再来」と言われた小林ゆうさんですが、これはまさに小林ゆうさんによる戸川純さんのカバーです。
モノマネとはまた違うんですが、これはこれでオリジナルをかなり意識されてるような気もします。イメージの再現というコロッケさん的なデフォルメの効いた感じでしょうか。


荒川アンダー ザ ブリッジ(2010)
シリーズディレクター:宮本幸裕、P:宿利剛(企画に森山敦)
(製作クレジットは全て製作委員会にまとめられてしまっているのですがソフトはキングレコードから出ているようです)

「ヴィーナスとジーザス」やくしまるえつこ



荒川アンダー ザ ブリッジ×ブリッジ(2010)

「COSMOS vs ALIEN」やくしまるえつこ


シリーズ通してOPはやくしまるえつこさんで、EDもやはり一期二期通してスネオヘアーさんです。


電波女と青春男(2011)
シリーズディレクター:宮本幸裕
P:田中潤一朗、宮本純乃介、三木一馬(アスキー・メディアワークス)、金庭こず恵

「Os-宇宙人」エリオをかまってちゃん


エリオをかまってちゃんはヒロインのエリオ役の大亀あすかさんと神聖かまってちゃんのユニットなんですが、この組み合わせが奇跡的な効果を上げてる気がします。
個人的に神聖かまってちゃんは(あんまりちゃんと聴いたことないんですけど)80年代くらいのパンクニューウェーブのリバイバルという風に捉えてるのですが、そういうのに耐性のない人からは「気持ち悪い」としか感じられないんじゃないでしょうか。
それがボイスチェンジャーでなくプロのアニメ声のボーカルを得ることで、「かわいい」に転化している様がすごいなあと初めて聴いたときびっくりしました。(ところで、昔の戸川純さんのライブ映像なんかを見ても「純ちゃんかわいいー!」といった歓声が聞こえたりもします)
私は贔屓をする女なのでライブ映像も貼っちゃいます。



2.5次元がここに!
動画の後半でも歌ってるカップリングの「コタツから眺める世界地図」の感傷的な感じが私はトテモ好きです。
エリオさんもりゅーしさんも前川さんもみんなみんなかわいくてグッドなアニメでした……そういえば舞台は名古屋らしいですよ。

「ルル」やくしまるえつこ


EDはまたまたやくしまるえつこさん。「おふとんなくて寒い おふとんはがされて寒い」なんて歌詞がかわいいですが、二番では「おふとん隠されて寒い」になっています。
実はかなり作中のヒロインに沿った歌詞になってる気がします。


後半につづくよ!


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